借り手市場の現代で、安定した賃貸経営を続けていくには、入居者のニーズにあった空室対策が必要です。
ただし、そのためには、自身が所有する物件の「空室率」をきちんと把握しておかなければなりません。
この記事では、賃貸経営において重要な「空室率」について、その種類や目安、また空室リスクが高くなる原因を解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら賃貸経営において重要な空室率の種類とは
空室率とは、部屋の総数に対し、人が住んでいない部屋(=空室)が占める割合のことです。
この「空室率」を正しく想定することで、適切な空室対策に繋がり、安定した賃貸経営がおこなえます。
とはいえ、空室率にも種類があり、計算方法によって結果が大きく異なるため、注意が必要です。
ここでは、空室率の種類や計算方法について解説します。
時点空室率
時点空室率とは、今その「時点」における空室率のことです。
管理会社や統計サイトなどが発表する空室率は、多くの場合、この「時点空室率」が利用されています。
計算式は以下のとおりです。
空室率=空室数÷全室数×100
所有している10戸の物件に空室が5戸あったとすると「5÷10×100」で、空室率は50%となります。
ただし、時点空室率は、調査したその時点での空室率なので、今後の流れが把握できません。
より正確に物件の状況を知りたい場合は、長期的なスパンでの空室率を調べることが大切です。
稼働空室率
稼働空室率とは、1年間の稼働日数に対しての空室日数の割合のことです。
先ほどご紹介した時点空室率よりも、その物件の実情に合ったデータがわかるため、物件の収支予測を立てる際に向いています。
計算式は次のとおりです。
稼働空室率=(空室数×空室日数)÷(全室数×365日)×100
たとえば、10部屋中2部屋が空室で、1年間でそれぞれで50日の空室期間があったとします。
このときの計算式は「(2×50)÷(10×365)×100」となり、空室率は2.8%となります。
賃料空室率
賃料空室率とは、賃料を基準に空室率を計算したものです。
計算式は次のとおりです。
賃料空室率=空室による家賃収入損失分÷満室と想定した場合の家賃収入×100
たとえば、所有する10室のマンションの家賃が毎月5万円だった場合、1年間満室で経営できれば、家賃収入は600万円です。
しかし、実際には家賃収入が500万円だったとすると、家賃収入損失分は「100万円」と計算できます。
これを計算式に当てはめると「100÷600×100」となり、空室率は16.6%となります。
この賃料空室率は、部屋によって異なる家賃設定にしている場合や、費用対効果の算出に有効な計算方法です。
空室率TVI
空室率TVIとは、不動産調査会社「タス」が公表している、独自の計算方法による空室率です。
ここまでご紹介してきたような空室率とはまったく異なるため、賃貸経営で参考にするには注意が必要です。
空室率TVIの計算方法では、分子に「空室数」が入ります。
分母には「入居募集中の物件の総戸数」が入るのですが、そこに「満室稼働物件」は含まれません。
そのため、満室稼働物件が増えるほど分母が小さくなり、空室率が高くなるのです。
「空室率TVIの上昇=空室率の上昇」というわけではなく、あくまでも「募集物件の空室傾向を示す指数」と覚えておきましょう。
賃貸経営の基本となる空室率の目安とは
ここまで、空室率の種類について解説してきました。
では、賃貸経営においてはどの空室率を参考にすると良いのでしょうか?
ここでは、賃貸経営における空室率の目安と、参考にすべき空室率の種類について解説します。
賃貸経営においては「年単位」での計算が必要
賃貸経営で参考にすべきは、年単位で計算した空室率です。
つまり、さきほどご紹介した4種類のなかでは、「稼働空室率」がもっとも適しているといえます。
たとえば、全6室中の2室が1年のなかで1か月間、1室が2か月間空室だった場合、稼働空室率は以下のように算出します。
(2室×1か月+1室×2か月)÷(6室×12か月)×100=約5.6%
しかし、これを時点空室率で計算した場合、以下のような結果になります。
空室3室÷全6室×100=50%
こうしてみると、計算方法や計算するタイミングが違うだけで、結果に大きな差が生じることがわかります。
賃貸経営は長期的なものであるため、瞬間的な空室率ではなく、「年単位」で計算することが重要なのです。
また、同じく年単位で計算できる「賃料空室率」は、賃料をしっかり回収できているか算出したいときに有効です。
空室率の判断基準「20%」が正しいとはいえない
賃貸経営において、空室率「20%」を、ひとつの判断基準にしているオーナーは少なくありません。
実際に、国土交通省が発表しているデータでは、2018年の全国の賃貸戸数に対する空室率は18.5%でした。
このようなデータから、空室率20%を目安にしているオーナーも多いですが、全国一律で20%と考えるのは、正しい判断とはいえません。
なぜなら、空室リスクは物件や地域によって大きく異なるためです。
それでは、空室率の目安をどのようにして考えたら良いのでしょうか?
ポイントは、地域や物件に合わせて検討することです。
たとえば、需要が見込める「都内にある駅から徒歩5分以内のマンション」の場合、空室率20%では、リスクを大きく見積もり過ぎかもしれません。
一方で、「地方にある交通利便性の低い古いアパート」では、借り手がつきずらいと予想できるため、空室率20%では不足している可能性があります。
このように、空室率の目安は、地域や物件によっても異なるため、多くの知識を持った不動産会社へ相談することがおすすめです。
賃貸経営において空室率が上がる原因とは?
空室リスクとは、所有している物件に借り手がつかず、賃料が入らない状態になるリスクのことを指します。
賃貸経営において重要な「空室対策」を適切におこなうには、空室リスクが上昇する原因について理解しておくことが大切です。
所有するマンションなどで空室が発生する場合、主に2つの原因が考えられます。
●人口の減少によるリスクの上昇
●供給過多によるリスクの上昇
それぞれの内容について、順番に解説します。
人口の減少によるリスクの上昇
人口の減少は、賃貸経営にも影響してきます。
人口が減ると、住まいを必要とする人の数も減るため、そのぶん空室リスクが上がってしまうのです。
地方などで、人の出入りが少ない場所では、とくに人口減少による影響は大きいといえます。
ここで重要なのが、国単位ではなく、エリアごとの人口に注目するということです。
そのエリアで、大幅な人口減少がなければ、そこまでリスクを気にする必要はありません。
供給過多によるリスクの上昇
人気のありそうな地域であっても、空室率が高いケースがあります。
その場合は、物件の供給過多が原因と考えられるでしょう。
人口の減少がなくても、その地域にたくさんの賃貸物件が建っており、需要よりも供給が上回っている状態では空室リスクが上がってしまいます。
また、相続した不動産をそのままにして空き家状態となった物件が増えることも空室率を上げる原因のひとつです。
このように、空室リスクは、人口減少や物件数の増加が要因となって上昇します。
こうしたことを想定したうえで、適切な空室率を理解し設定しておけば、空室対策の必要性について冷静な判断ができるでしょう。
まとめ
「空室率」について、その種類や目安、また空室リスクが高くなる原因を解説しました。
賃貸経営において参考にすべき空室率は、「年単位」での計算です。
長期的なスパンでの空室率を調べることで、適切な資金計画を立てましょう。
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